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(いもりねかだん) 募集案内 作品案内
■ 平成27年度の募集 入選作 発表
たくさんのご応募 ありがとうございました。以下の作品が入選されました。


チャレンジしよう
学校法人四條畷学園 理事長 川 ア 博 司

 二〇一五年のノーベル賞は医学・生理学賞に北里大学特別栄誉教授の大村智さんが、物理学賞に東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が選ばれました。物理学賞は昨年の赤崎勇、天野浩、中村修二の三氏に続く快挙で、日本人のノーベル賞受賞者は計二十四名となりました。

 大村先生は熱帯の多くの人々を病魔から救った化合物「イベルメクチン」を発見しました。この薬ができるまではアフリカでは寄生虫により多くの人が失明したり、足が膨れ上がり歩くことができなくなったりしていました。今ではこの薬のおかげで若い人たちに病気の心配はなくなりました。

 大村先生は大学卒業後高校の夜間部の先生になり、このときひたむきに勉強する生徒たちの姿を見て自分の意識の低さを反省し、一念発起して大学院で学び直すことを決意しました。この後研究生活に入り、薬のもととなる化学物質を生み出す微生物を探すためいろいろな場所で土を採取することを始めました。小さなポリ袋を持ち、ありとあらゆる場所で土を採取しては微生物を探す日々が続きました。
研究室には五万本の試験官があり、すべて土から分離した微生物が入っています。この中から五百種類の化学物質を見つけ出し、二十六種類の薬につなげました。本当に地道な研究をこつこつと長年にわたり続けた成果です。また、産学連携の先駆けでもありました。研究には多額の資金が必要です。企業から研究資金を得て有用な化学物質を見つけ、使用権を企業に渡す。実用化されたら売り上げに応じた特許料を研究室に入れるという仕組みを取り入れました。当時は今のように企業との共同研究は推進されておらず、まさに産学連携の先駆けでありました。

 梶田先生は素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、物質や宇宙の謎に迫る素粒子研究を発展させた功績が評価されました。ニュートリノの正体をつかむために作られた巨大観測施設「カミオカンデ」で得たデータの計算が、自身の予測とは異なる結果となったことから真剣にニュートリノの研究に取り組み、約十年間にわたりこつこつと研究を続けた結果今回の成果につながりました。

 二〇一五年秋にはもう一つ嬉しいニュースがありました。ラグビーワールドカップ・イギリス大会で日本代表が大活躍しました。日本代表はこれまでワールドカップラグビーでは一勝しかしていません。それがこの大会では初戦で優勝候補の南アフリカを破り、予選リーグで三勝一敗という輝かしい結果を残しました。

 これはエディー・ジョーンズヘッドコーチの「勝てない言い訳を探すより勝利につながる長所を見つけるべきだ」との信念に基づく指導の下、何となく長時間練習をこなせばいいという日本流ではなく、常に一〇〇%のパフォーマンスで練習に取り組み、それを日に何度も繰り返すハードワークを行いました。この猛練習を通し選手の意識が変わり、選手自らハードな練習に取り組み、またゲームの中でも自分たちで考え、ハードワークしたことがこの輝かしい結果につながりました。

 長くなりましたが、二〇一五年秋の学問、スポーツ分野での素晴らしいニュースから、何をするにおいても次のような姿勢が大切ではないかと考えます。

 一つは何かを成し遂げようとする強い意志(意欲)を持つこと。二つ目はこつこつと粘り強く続けること。これは成果が出るまで頑張るという意味もありますが、また時の来るのを待つという意味もあります。三つ目は工夫する、常識に挑むということです。これまではこうしたから、これが常識だからというのではなく、時には頭を柔らかくし、人とは違ったことをやってみることも必要ではないでしょうか。またできない理由を言うのではなく、どうしたらできるかを考えるといった思考様式も大切です。

 今、何となく若者を中心に「緩さ」が蔓延しているように思います。少子高齢化で国内マーケットが縮小し、国際化に伴い企業が海外に出て行くということは国内から富の源泉が得られなくなることを意味します。いつまでも幸せな時代は続かないということです。幸いこの一、二年、円安や我が国の技術力が見直され、企業が工場を国内に戻す、海外企業が日本に拠点を構えるといった動きが出てきていますが、これはまた海外から優秀な人材が来日することになり、そうした人々との競争を意味します。

 ノーベル賞やワールドカップラグビーのような高くそびえる壁ではなくても一人ひとりが目標を掲げ、その達成に向けて壁を乗り越える努力を続け、多くの人と切磋琢磨する覚悟を持ちたいと思います。  



飯盛嶺歌壇 平成27年度 入選作品 紹介

厳正な審査の結果、以下の作品が入選作品として選ばれました。

【小学生入選作品】

【天 賞】
六年生笑顔の日々にしたいから嫌なことでも学園チャレンジ
【地 賞】
あじさいに呼ばれて雲がとんでいる雨がしとしと傘の行列
【人 賞】
サバイバルはげしいあめのおとがするドキドキするよテントのなかで
ニジマスをおいかけ川の水の中つめたさわすれ一匹ゲット
【佳 作】
とべるかなおおなわたいかいぼくのばんひっかからずにとびつづけたよ
かたつむりあめのひザーザうれしそうわたしはちょっぴりざんねんだけど
おんがくはたのしいじかんロボットもたのしいじかんわくわくするよね
じゅぎょうでねにているおやこたのしみだトカゲとイモリそっくりだよね
赤とんぼゆうやけこやけきれいだよでも赤とんぼほんとはみどり
はじめてのふでをつかっておしゅうじをかこうとしたがてがすみだらけ
春になり友だちづくりがんばろうクラスがえの日さみしい心
緑の葉大きい山だうれしいな飯盛山はすごくきれいだ
いつまでもいいこころもちあしたへとみらいしんじてあしたをまとう
いいもりのそのかぜうれけば思い出す入学からのよきせいちょうを
さくらさきはるかぜふくよこのまちにああすばらしいはるのはじまり
友達とガールズトーク盛り上がりボーイトークに変わっていくよ
汗かいてみんなが集まるグランドの隅でいきぬく小さなお花
夏が来た目覚まし時計はもういらないセミの声聞きいちにちはじめ



【中学生入選作品】

【天 賞】
梅雨の空祖母が漬けたる梅の実のしそに染められ紅に輝く
【地 賞】
友の輪が広がっていく結ぶ縁日々を重ねて年輪のよう
虫の音を遠くに聴きつつ本を読む作者の世界に想いを馳せて
今日も雨カッパ姿の子どもたちてるてる坊主の行進みたい
【人 賞】
美しい四季折々の風景を肌で感じる学園の庭
通学路雨止むかなと空見上げ目に映るのは傘の花畑
【佳 作】
夏の日の夜空にひかるその花は一瞬だけど夏のおもいで
初夏の朝カエルの合唱楽しそう私も負けず鼻歌通学
くらやみの夜空にちらばる光る星心に刻む夏の思い出
真っ暗なはてない空に花が咲く咲いてすぐ散る打ち上げ花火
飯盛嶺の頂より観し初日の出友と登れば寒さも和らぐ
ピーピーと親鳥さがすひなの声私もそろそろ巣立ちの頃かな
梅雨明けのしずく垂れてるあじさいが日の光浴び金に輝く
母親と肩を並べて鏡見るどっちが高いか背くらべ
おはようとたった一言が一日をまほうのように変えていく
夏の朝窓を開ければ蝉の声幼心がよみがえる
おばあちゃん七十過ぎてなお元気愛はあふれて愚痴も健在
いつだってふと気がつくと追っている広く大きい父の背中を
ゆらゆらと揺れる笹の葉短冊に願いを込めて空を見上げる
横顔に共に学びし十二年思い出の君ずっと友だち
試合後に涙こらえて整列し敵には見せぬ男の涙
桜咲き次の春が来る頃はそれぞれ歩む新しい道



【高校生入選作品】

【天 賞】
少しずつページが進む小説と一緒にめくる心のページ
【地 賞】
お弁当いっぱいつめた愛情を空っぽにして感謝の気持ち
【人 賞】
声交わし時を過ごして高めあうここは学び舎私の居場所
短冊に想いを込めて願い書く叶わぬ事を知っていながら
【佳 作】
夏の夜君と見たのは星空に綺麗に咲いた打ち上げ花火
「おはよう」とドアを開ければ友達があいさつをしてくれる喜び
眠すぎるお昼の後の五時間目ノートにいらない線がふえてる
雪の中声を出したが喉奥にきしんだ震えが走り去るだけ
泡沫の月の光りに照らされた君の姿に恋におちいる
誰よりもかがやく君を支えたいずっと一緒に居てくれますか?
ありがとう言えばお互いあたたかく感謝の気持ち言葉に替えて
私がね素直にごめんそう言えば終わるケンカが意地のはり合い
ありがとう恥ずかしすぎて言えずにいた今日こそ言うよお父さん
ふと見れば水面に映る空の青筆では書けぬ自然の色彩
蝉の声騒がしい夏図書館に入った途端満ちる静寂
帰り道葉桜となる道見ると別の道ゆく親友がいて
水たまり映った空は茜色響き渡るは僕らの音色
帰り道見上げた空は夕空と夜空の間はさまれて
自分がねやりたい仕事見つかって祖母には反対なんでだろう
夕闇にのまれ歩いた帰り道寂しい気持ち抱えたままで
ありがとう文句一つ言わないで私のことを支えてくれて
夏が来る暑い日差しに手に下敷きみんなであおぐスカート祭り
朝寝坊しない方法ありました目覚まし時計抱えて眠る
昼休み大きなためいきつきながら空のかなたへ飛ぶしゃぼん玉
好きでしたうそでした嫌いでしたでも好きだったことに変わらない
高校生映画のような青春をできるとみんなが思ってたのに
寒い日に空から落ちる雪結晶冬を彩る綺麗な光
あじさいのたれしこうべをのぞきみて小さき花のおどり楽しむ
帰り道影を見て知る伸びた背を過去の日の背と比較してみる
一歩ずつ前へ進んで行けばほら夢は自然と叶っていくよ
災害の復興未だめど立たず心の安心日々祈るのみ
真っ白なドレスに似合うケーキがね世界でひとつ将来の夢
幼な児がひまわり畑延々と麦わら帽子見えかくれする
お母さんしんどい時は笑顔くれ支えの言葉あんたらしくと
クリスマス仕事帰りのお父さんおもちゃ屋さんに勢揃いする
ラグビーに毎日行くと顔知られほほ赤くなる冬の花園
もう嫌だそう思った毎日が君の笑顔で恋しくなった
清流の流るるさまを眺めつつ盃に映る朧月かな
この日々に当たり前が積もってくいつかは気付く山の奇跡
いつまでも忘れられない恋がある月日が経てばただの想い出
昼休み彼女と一緒にボールパス終わりが見えない僕らの愛も
葉をつたいしたたる雫ふくらんで映る周りのあじさいの色
「青春」を何の気なしに過ごしてたそんな「月日」に今さら気づく
いつの日かこの家を出る日が来ると思い浮かぶは家族の笑顔



【短大生入選作品】

【天 賞】
木々かおりくものない空あおぐとき夏に輝く飯盛の山
学園の見慣れた校舎横に見て目指すは我の新境地なり
【地 賞】
公園で一人で遊ぶ雨の日に友だち来たよ虹色つれて
バスの中桜広がる春の朝新たなる道さらば制服
【人 賞】
感謝する毎日聞こえるおきなさい母の声と朝のはじまり
華やかに泉の空に咲く花火風冷たくて夏が過ぎゆく
【佳 作】
春の日に桜の花びらふぶいたらそろそろ友とさよならの時期
鳴りひびく先生先生元気な声かんかんでりの青空の下で
朝一に自転車乗って風を切りホームにつくと噴水の汗
ブロックを笑顔でくれる子どもたち緊張解けてまほうみたいだね
眠い朝携帯アラーム鳴り響き一睡せぬまま学校だ
空高く満天の星魂たち亡くなりしもの会ひたきかな
先生のがんばれ君なら大丈夫自然と溢れる自信と涙
くらい舞台不安でいっぱいそんなとき仲間と目が合う「やってやるぞ」
「みひつけた」八つの妹「ねぇねぇ」とつぎはボールでさぁあそびませう



【大学生入選作品】

【天 賞】
祖母の夢受け継ぎ医療へ踏み込んだ決して一人の夢でない
そよ風に背中押されて見上げるとやさしい君にてれ草生える
【地 賞】
甲子園上り詰めるが夢だったその夢を継ぐセラピストになる
坂の上見下ろす夜景焼き付けて明日も登ろう夢への一歩
【人 賞】
帰宅してうたたねすると蝉の声気が付けばもうおはよう朝日
六月の看護実習通り過ぎ学んだことは未来の姿
【佳 作】
手つかずで締め切り迫る課題たち焦るはまるで売れっ子作家
リハ学舎出入り口にあるツバメの巣くちばし並べる四羽の雛が
第一の坂を乗り越えまだ笑顔第二の坂で止まらぬ鼓動
帰り道一番乗りだ坂降りるあらまあいやだまた忘れ物
通学路みんなで登る上り坂登ってゆくはOTへの道
眠たいな睡眠学習心理学気が付くその時吊り橋効果
図書館の古紙の匂いが満ちあふれ独りではない一人の時間
一期生校舎まっさらドキドキで夢に向かって毎日努力
白球をただ追いかけたあの場所で汗と一緒に流した涙
毎日が課題に追われ過ぎてゆくなめきっていた看護学生


編集後記

 歌集『飯盛嶺』は年に一回の刊行を重ね、近年の四條畷学園の歴史とともに歩んでまいりました。今年度は、大学に看護学部が開設されましたことに伴い、新しい投稿者が増え、『飯盛嶺』第十七歌集もより充実したものとなりました。なかには、一人でたくさんの短歌を作ってくれる子たちもいましたが、嬉しく読みながらも紙幅の都合で数を絞って掲載しています。

 数々の投稿作品からは、四條畷学園生のさまざまな心に触れることができます。どの短歌にも作者の生きている姿が表現されています。それらは自分と向き合い、自分を認めて表現されたものです。学園生ひとりひとりが自分の中から生み出した、今年の歌々を皆様にお届けいたします。今を生きる一人の瞬時の心を、ひとつずつご覧いただければ、嬉しゅうございます。

 最後になりましたが、保護者や教職員の皆様からのご投稿もいただき、心より感謝申し上げます。お蔭様で、四條畷学園に集う子たちを温かく見守る学園らしい歌集となりました。また、第十七歌集の発行にあたり、さまざまなところでご助力をいただきました多くの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

平成二十七年十月 

四條畷学園 飯盛嶺歌壇委員会 

 

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