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■ 平成24年度の募集 入選作 発表
たくさんのご応募 ありがとうございました。以下の作品が入選されました。


白鳥、芦花に入る

学校法人四條畷学園 理事長 川 ア 博 司

 最近、学校でのいじめが社会問題化しています。また、狭い道路を猛スピードで走り、多くの人の命を奪ったり、無差別に人を襲ったりする犯罪が発生しています。人の気持ちを考えない、利己的で奢り高ぶっているとしか言いようがありません。

 礼節が社会の結びつきの根本で、清潔さや治安のよさ、人々の優しさ、道徳や倫理における素晴らしさがあった日本はどこに行ったのでしょうか。グローバル化が喧伝され、他人よりもちょっとでも目立つことが必要といわれ、自己主張することを求められる世の中になっています。

 こんな世の中であるからこそ「白鳥、芦花に入る」ということばを噛み締めたいものです。このことばは下村湖人の「次郎物語」の第三部に出てきます。

 主人公の次郎が旧制中学校の1年生だったとき、次郎は、朝倉先生を中心とした集まりの「白鳥会」に参加しました。その会は先生の自宅で行われていました。部屋に、「白鳥入芦花」と書いた額がありました。

 意味が分からず頭をひねっている次郎に先生の奥さんがこうヒントをくれました。「芦の花って真っ白でしょう。その真っ白な花が咲いている中に、真っ白な白鳥が舞い込んだっていうの」。

 先生がこう解説してくれました。「真っ白な鳥が、真っ白な芦原の中に舞い込む。すると、その姿は見えなくなる。しかし、その羽風のために、今まで眠っていた芦原が一面にそよぎだす、というのだ。「お互いにこの白鳥のまねがしたいものだね」。

つまり「オレが、オレが」とでしゃばるのではなく、功名を求めず、黙々と自分の責任を果たしていく。目立たないけど、しっかりと自分の立ち位置は守って存在感を失わない。こんな人っていいですね。  



飯盛嶺歌壇 平成24年度 入選作品 紹介

厳正な審査の結果、以下の作品が入選作品として選ばれました。

【小学生入選作品】

【天 賞】
ベランダでキンモクセイが香ってるせんたく物がほのかに香る
【地 賞】
泥まみれ誰が誰だか分からない泥のかけ合いガタリンピック
【人 賞】
ホタルはね夜に出て来る人見知り目立つ色だよおしりの光
よねんせいこうがくねんになるんだねみほんになるよルールをまもろ
【佳 作】
あめあがりそとでおさんぽみあげればわたってみたいなないろのはし
かぶとむしくわがたむしとだいバトルわくわくするよはっけよいよい
なつやすみみんなでトライそとプールおよぎたいなにんぎょのように
なつまつりゆかたをきたようれしいよさいふをもってうきうきしたよ
なつやすみまいにちつけたあさがおのかんさつにっきおおきくなあれ
いちりんをあとちょっとがんばるよきょうざいえんすこしとおいな
おなべでねぐつぐつおにくおいしいねぶたとうしがねぐつぐつやける
リリンリンふうりんなってなつやすみむしむしじりりあつすぎるなつ
サッカーボールしろいぶぶんはろっかくけいくろいぶぶんはごかくけいです
おじぎそういつもかしこくれいしてるぼくもまいにちいつもあいさつ
林間でさかなつかみをしたあとではじめて食べたないぞうの味
うちでエコゴーヤカーテンすずしいなせんぷうきはねもういらないよ
おそとにねみんないちどにでてきたらおそとがとってもうれしそうだね
夜の空星がきらきらあまの川二人がであう夜の星空
たなばたにどんなたんざく書こうかなみんなはどんなたんざく書くの
ツバメの巣見るとついついチュウチュウと自分も声だけツバメになった
俳句をね作るのとても悩むよねどうしようかなああ浮かばない
みんながね音無し歩きしているよシールをもらい絶好調
あの星をこの手でそっととりたいなあの子のなみだ流れ星かな
ランドセル背中がビッチョリひっついて早くクーラー効いてる部屋へ
ごねんせいまたまたのなかせんせいだよねんぶりだなすごくうれしい
空を舞い役目を終えた花火達姿を変えてはるか遠くへ
小さな手六年前を思い出すしっかりにぎりいろいろ歩む
すいかをね食べ終わったときふうりんの音にいやされついねてしまう
たんぽぽは風にのっては旅に出るこんどはどこで花をさかすの
誘蛾灯しばらく見るとバリバリと夏の虫には方位磁針か
太陽が一年生を輝かせ手と手とともに山へレッツゴー



【中学生入選作品】

【天 賞】
夏みかん片手に笑う祖父と見た夕暮れの向こう雨上がりの虹
【地 賞】
梅雨の時期色とりどりの傘の束路上をかざる花束のよう
お弁当母の苦労も詰まってるこの日常に溶けているけどく
【人 賞】
駅までのダッシュと一緒にゆれ動くリボンはまるで私の心
ほっぺたに今のっかったこの粒はきっと私がいちばん最初
雨ふれば一人で窓の水滴でひんやりつめたいあみだくじ
【佳 作】
オムライスふだん言えないありがとう私の気持ち色で伝える
思い出すお家の壁の傷を見て過去を思わす生きたアルバム
こがれゆく思いを隠す赤き実は誰に似たのか秋のほおずき
朝顔がこっちを見ながら叫んでる気づいてほしいと聞こえぬ声で
秋空に紅色のくらま山義経しのぶもみじかな



【高校生入選作品】

【天 賞】
あをによし奈良に散り行く八重桜花びらひらひら君の肩に落つ
【地 賞】
最近の日本経済不安定首相の名前忘れたノダ
【人 賞】
足元に広がる景色青い地にのみこまれそう逆上がり
【佳 作】
黒板に飛び跳ねている数式をノートにきっちり閉じ込めていく
ちっぽけな悩みなんかに負けないで宇宙は広い心も広く
授業中聞いてるふりして違うことごめんね先生反省してます
今寝ると夢を見るだけだけどもし今ふんばると夢に近づく
雨の日は幸福が降る嬉しい日いい事いっぱいあるといいな
したい事させてくれてる人たちに感謝の気持ち大切にする
病んだとききづいてほしい周りにはあなたを思う大切な人
つらいのか自分の周りをもっとみろそんな程度で泣きべそかくな!
太陽はいつも私を見ているねいつも明かりをありがとう
蝉時雨七日間しか生きられない少しうるさい命のシャワー
もう三年時間過ぎるの早すぎる一年二年何してたかな
ありがとうその言葉だけ聞きたくて喜ばせたくて空回りする
自転車で毎日通るこの道をあと何百回通るんだろうか?
下を向くくじけそうにもなったけどそんなときこそ空を見ようよ
原発の怖さ危険度知りながら便利に負けて国を滅ぼす
三年間電車に乗ると見慣れたね外の景色と乗ってくる人
来年のこの瞬間を笑うため悔いなくすごす今このとき
はやかった高校生活おわってく学園にきて想い出いっぱい
体内に葉緑体がないゆえに地球環境守れぬ私



【短大生入選作品】

【天 賞】
見上げると蒼く染まったあの空に続いていたよ夢への道が
いつの日かあの人みたいになりたいな人を助ける優しい笑顔 
【地 賞】
これからの将来はまだわからない楽しく過ごし幸せであれ
籠球のリング届かず夢やぶれ流した汗は涙となった
【人 賞】
目を閉じて思い浮かべる将来の私は夢に向かっているかな
ありがとう笑顔で言われたその時にすごくうれしく笑みがこぼれる
【佳 作】
暑い日にスーツ着こんで実習へ子どもの笑顔で不安がとんだ
青い空夕焼け空に夜の月君と見たいなこのままずっと
暑い夏仲間と過ごす夏休みたくさん想い出出来るといいな
はてしなく大きく広く続く空私の心も大きく広く
七色の空に彩る架け橋よいつか二人で歩いて行こう
暗い雲光がかける雨上がりあがる雲間に虹の架け橋
ありがとう皆がいたからわたくしは三年間を頑張れました
天の川あなたとともに来年も見られるように願いをこめて
好きだよと一言言ってあなたから私はずっと待っているから
潮風とからまる想い星の下握る手と手はいつしか砂に



【大学生入選作品】

大学生入選作品
【天 賞】
梅雨の雨歩いてかえる田んぼみち木陰の中にことりの集会
未来より過去を見つめている人を諦めさせる道具が欲しい
【地 賞】
真っ直ぐに未来へ続く夢の道絶えることなく輝いて
改めて一人になって気付いたよ食卓囲む家族の温もり
【人 賞】
落ち込んで地面ばかりを見ていた日こんな思いを見上げた空へ
夜空には色彩豊かな花が咲く火薬のにおいと大輪の花
【佳 作】
今までの仲間と別れ第一歩踏み出し出会う新たな仲間
骨の名を覚えねばならぬ橋桁ももやしレタスも骨に見える
君の声君の仕草が愛しくて君に出会えた奇跡に感謝
夏休み長いものだと思ってた気付けば再試で三週間
セミの声しなくなったら夏終わり次はキレイな虫の声
授業中寝ないと頑張り前見たら台風過ぎ去りし稲のよう


編集後記

  昔の人々は、「ことば」に魂が宿っていると信じていました。もちろん科学的にはまったく根拠のないことです。しかし私たちは、先生から、また親しい友達からのひと言で、勇気づけられたり、心が休まることを何度も経験しています。
 ことばには不思議な力があります。たったひと言で、私たちは大きな力を得ることができます。ことばが大切な働きをしていることを感じないではいられません。

『飯盛嶺 第十四歌集』に表現されたことばから、作者の熱い思いを知り、感動し、その気持ちに共感して、私たちはこれからもしっかり歩んでいきたいと思います。どうぞ、すばらしい作品に心を委ねてください。
 最後になりましたが、発刊にあたりご協力、ご助言を賜りました保護者の皆様をはじめ、理事長、教職員の方々、またご尽力賜りました種池印刷様に心より御礼申し上げます。

平成二十四年十二月

四條畷学園 飯盛嶺歌壇委員会
 

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