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(いもりねかだん) 募集案内 作品案内
■ 平成29年度の募集 入選作 発表
たくさんのご応募 ありがとうございました。以下の作品が入選されました。


「AI(人工知能)時代」と「感じる力」と「飯盛嶺歌壇」
学校法人四條畷学園 理事長 小谷 明

 AIがあらゆる場面で登場する社会が迫っていると言われます。そのような社会では、今ある仕事 のかなりのものが無くなるとも言われています。おそらく、コンピューターが得意なデジタル技術や目 に見え、デジタル化しやすいものからAIに置き換えられることになるでしょう。今、目に見えにくく デジタル化が難しいと思われるものであっても、スーパーコンピューターでビックデータを使って解析すれ ば、可視化されて、AIに置き換えられ、残ると思われていた仕事が無くなっていくことも十分考え られます。

 そのような時代でも必要とされる力は何かをしっかり考え、備えることが大切になります。私はそ の「必要とされる力」のひとつが「感じる力」ではないかと思っています。何故ならば、単純に残る仕事と 無くなる仕事があるということではなく、携わっている人の「感じる力」という仕事の付加価値によって 残るか無くなるかが分かれると思うからです。

 それではこの「感じる力」について少し考えてみましょう。

 毎年四月、学園六年一貫コースのアドバイザーである大阪大学副学長の吉川先生が、新入生に対 し、「大切なものは目に見えない」というテーマでお話しされます。もちろんこの言葉がでてくる「星の 王子様」の話もでてきますが、新入生にとって最も大切な「学ぶモチベーション」に直結する幸せを「感 じる力」のためのものの見方、考え方というお話しです。その中で、目に見えるものの例として、「学 歴」「偏差値」「免許」等をあげられ、目に見えないものの例として、「人間性」「やさしさ」「感謝」「謙 虚」「正直」「思いやり」「情緒」等をあげられました。

 私たちはこのような目には見えないけど、確かにあると感じていることがたくさんあります。例えば、 活躍したスポーツ選手が必ず口にする「今の自分があるのは○○のおかげです」という感謝の言葉で す。これを聞いて私たちが納得するのも、「感謝」の気持ちは目には見えないけど確実にある大切な ものだと思っているからでしょう。その意味で、学園生活は目に見えるものだけでなく、創立の思いで ある「報恩感謝」を通じて、目に見えない大切なものを「感じる力」を身につける場になっているとも言 えます。

 今回の飯盛嶺歌壇に応募された皆さんは、気持ちや印象という目に見えないものを言葉にする過 程を通じ、知らぬ間にこれから大切になる「感じる力」を磨いていたことになります。振り返ってみる と、作品をつくろうと思った瞬間から、関心や興味、問題意識のアンテナが高くなり、今まで気がつ かなかったことにたくさん気がついたはずです。「気づく力」とは目に見えないものを見えるように「感 じる力」だと思います。

 この「感じる力」を磨くためにはアクティブラーニングと同様に、受け身ではなく、能動的・積極的で あることが大切になります。難しいことではありません。例えば、学園の附属幼稚園では毎年卒園児 が「ありがとう文集」をつくります。ありがとうという「感謝」を受け身ではなく、積極的に見つけよ うとする機会になっています。そして、家族や友達や先生からのたくさんの「ありがとう」をみつけて います。たくさんの「ありがとう」を通じて「感じる力」を磨いているのです。

 最後に、前述の吉川先生のお話しの中から、人生が変わる三つの言葉「@おはよう(挨拶)、Aあり がとう(感謝)、Bごめんなさい(素直)」と、目に見えない幸せを感じる三つの方法「@自分以外の人を 幸せにする、Aすべての出来事をプラスに考え、楽しむ、B他の人と比較しない(全ての悩みは比較か ら生じる)」 をご紹介します。

 皆さんもこれらの言葉を通じて「感じる力」を磨き、来年度も素晴らしい作品を生み出して下さい。

 



飯盛嶺歌壇 平成29年度 入選作品 紹介

厳正な審査の結果、以下の作品が入選作品として選ばれました。

【小学生入選作品】

【天 賞】
今気付く小学校の大切な日毎日がすべて良い宝物
【地 賞】
桜さく希望を胸に手をつなぐ門をくぐった昨日のようだ
学園のめあてに向かいつっぱしる一人一人が輝く星だ
【人 賞】
今までで一番楽しい誕生日祝ってもらえたキャンプファイヤー
カタマランいきを合わせて十人でパドルを使っていっぱいこぐ
たのしみだたいいくかいがみんなでねちからをあわせぜったいかつよ
おとうさんしょうぎがつよいかっこいいこんどはかつぞぜったいかつぞ
【佳 作】
どうしようよわりそうだよおはなさんみずをあげたらきれいになった
なつまつりだんじりはしるまちのなかこどもおとなもえがおあふれる
むしかごにとんぼをいれてにげだしてとんぼがとんでとおくへいった
にねんせいまいにちいいひたのしいなみんなえがおでうれしいきもち
さかなつり一ぴきつれたうれしいなもっとつりたいでもじかんぎれ
けんだまはいつもやってもできないよれんしゅうしてうまくなったよ
休みじかんゴールめざしてつっぱしれぼくのともだちサッカーボール
三年生なったばかりでドキドキだぼくは一年生の見本になりたい
ひまわりはすごく大きい花びらもぼくより高いぐんぐんのびる
新学期しんきゅうしたらクラスがえはじめての子と仲良くしたい
楽しいよ自然学校おもしろい三年生ももう友達だ
友達とさか上がりしたむずかしい何度かやるととてもかんたん
雨の日の憂うつな一日吹き飛ばす友の「おはよう」紫陽花が咲く
白い雲いくつも逃す口開けて雲が話すのみんな聞こえる
飯盛の下にそびえ立つ学園に五年の想い詰まっているよ
目標は応援団でみんなとね力を合わせ優勝すること
学園の梅干しすっぱしでもうまし塩が浮き出てジョリジョリと
プクプククこれはおもちか妹のほっぺだふにふにふににこのほはおもち



【中学生入選作品】

【天 賞】
夏服に袖を通して空見上げ背筋が伸びる空の青さよ
【地 賞】
小さな手にぎって歩く夏祭り私のおさがりいとこのゆかた
夢を追う君の姿は花のよう太陽を追う向日葵の花
【人 賞】
青空に響いてく音まっすぐな青春の音どこまでもいけ
白球に想いを込めてマウンドへ照る日差しより勝る熱闘
夏野菜日に日に育つ茎と花目指すは空と言わんばかりに
【佳 作】
さわやかな淡い色した露草の上に乗る蝶満面の笑み
夏の空ふと見上げると満天の私のためのスポットライト
木漏れ日のカーテン抜けて走り出す進んで行こう希望の道へ
「夏はまだもうどしゃぶりは飽きたのよ」空を見つめるてるてるぼうず
駅までと友だちと行く帰り道卒業まではあと何メートル



【高校生入選作品】

【天 賞】
雨あがり沈んだ気持ち流れ落ち吹き抜けていく新しい風
真夜中の何も見えない暗闇にはずかしそうに隠れる三日月
【地 賞】
ごめんねとたった一言言えなくて君との距離は戻らないまま
雨に濡れ玉を結びて流れゆく色鮮やかな紫陽花の朝
【人 賞】
はじまりと共に感じるこの不安踏み出す先に道が広がる
瞬きを惜しむほどの星空を見上げる祖母の顔は愛おし
【佳 作】
すやすやと眠るこどもに癒やされて今日もぐっすりいい夢見れた
憧れる笑顔にさせるあの人が何年経っても応援してる
君の声聞こえるだけでドキドキと私の胸がビートをきざむ
時は過ぎ春から夏へ変わりゆき風の香りも季節に染まる
新しい青いマニキュア塗ってみる爪に広がる小宇宙
ありがとう口に出さなきゃ伝わらないだけども照れて言えないけどね
見上げれば空一面に光る星まるでかがやく蛍のようだ
草花を揺らすそよ風春の歌命が芽吹く深緑の歌
夏の花優しい風で思いだす背くらべをしたもうこせるかな
お弁当愛情二段いただきます心もいっぱい感謝でいっぱい
蓮華草可憐なピンク寄り添って風と始める春の宴を
美しさ清く正しく一番に心に咲かす純白の薔薇
青春二人で並んだ帰り道オレンジに染まる二人の背中
日常を何も変えずに過ごすのか自分を変える一歩駆け出せ
下を見て歩いていると気づけない空はこんなに青いということ
凜とした時が流れる学園に愛と知性を私は学ぶ
大会で輝く姿そのわけは絶えまぬ努力練習の跡
月はなぜ毎回同じ道を行く時には違う道もいいのに
キラキラと輝く笑顔大切に私が笑えば周りも笑う
まっすぐに見つめる瞳のその先に見つめ返す未来の自分
手のひらにぽたりと落ちた一滴恵みの雨か君の涙か
しんどいと言葉を吐いたら顔を上げて一歩踏みだし進んでゆける
想い刻む砂の時計は音もなく気づかれぬままただ積もり行く
朝霞飯盛山のそのふもと我を励ます学舎の詩
青々と茂る若木のこもれびに照らされ芽吹く新たな命
頑張れのそのひとことで頑張れるもうひとふんばりあとひとふんばり
大切ないとしい君には私より少し子どもでいてほしいのです
雨上がり晴れた空に虹色の橋がかかればしあわせ気分
五時間目香る塩素に濡れた髪微睡み沈む午後の授業
胸元の真っ赤なリボン揺れている夕焼け空の一つの影よ
そっけないただのお手紙捨てられずいつものファイルはふくらんでいく
忘れない復興願う私達あの日の涙笑顔にしたい
正解がどちらかなんてわからないそれでも私はただ進むだけ
冬越える強さを秘めた花となれ咲かせてみせよ大学受験
夏休み勉強漬けの受験生せめて見たいな打ち上げ花火
大切な友との日々を忘れずに一つ一つが今日のあなたへ
我が音よホールに響けその音が人の心に色づくように
ゆるひらと一枚の桜散って落ちる私の気持ち一枚の桜



【短大生入選作品】

【天 賞】
新しい清い心で乗る電車揺られて進む未来の自分
坂道を登ってつかんだ夢のカケラカケラ集めてなりたい自分へ
【地 賞】
挨拶や報恩感謝忘れずに未来にいかす技術を学ぶ
辛いこと悲しいことふんばって乗り越え次の未来は笑顔に
【人 賞】
今までと全く違う世界観日々を重ねて学べる世界
通学路ツツジが散った雨のあとすんだ空気と光の雫
【佳 作】
自転車で三十分の門をくぐり意気込みこめて夢に向かい歩く
十八歳新たな一歩を踏み出す時初の実習期待と不安
桜咲き入学式と晴れた空花びら落ちたらハイチーズ
わたしの手あまり大きくないけれど目指すあの夢つかみとる手だ
さわやかだ自転車乗り学校へ気持ちいい風吹ける今日
不安でもトライするのを忘れない一歩踏み出す勇気を持つ
ケンカして泣いて泣かしてすごす日々何度泣いても君がいちばん
夢があるあきらめないでおいかけていつかこの手でつかんでみせる
いつの日も優しい母に憧れていつか私も追いつけるのか



【大学生入選作品】

【天 賞】
駅からの坂道のぼりつくちから後に患者を支えるちからか
大学生のんびり過ごす夢描きいざ来てみたら寝る暇もなく
【地 賞】
夕焼けでかすかに伸びるカゲボウシその先に待つ明日への扉
学び舎のつばめの雛ら巣立ち行く私も続く夢に向かって
【人 賞】
漆黒に大輪の花七色しずく若かりし祖母満開の笑み
毎朝の私の見本は子供達おじさん見つけ笑顔でおじぎ
【佳 作】
反省文レポート忘れて書くことに二度とせぬよう固く決意
頑張って勉学励み未来へと信頼できる皆とともに
学校で疲れて帰るマイホームいっぱい食べようおいしいごはん
朝起きて目覚し止めてまた眠り母に怒鳴られまた起こされる
四月から一人生活晩御飯涙ボロボロ家族の笑顔
幼き日母の背中に憧れた今は背中を追いかける日々
辛くとも必ず叶える四年後にみなが頼れる看護師になる
実習で目標になる人みつけ将来みえた六月はじめ
やらかした入学式で乗りすごしヒール片手に階段ダッシュ


編集後記

 短歌は五・七・五・七・七の五句三十一音で綴られます。古くから歌われ、受け継がれてきた日本の定型詩です。一三〇〇年以上前にできた最も古い『万葉集』という歌集には、日本全国各地の様々な階層の人の歌が収められています。そして自然に対する情感、家族や友人や恋人への愛情、死者への哀悼など、さまざまな心情が歌われています。いずれも豊かな人間性が素朴に率直に表現されています。この歌集にも四條畷学園で学ぶ児童・生徒・学生をはじめ、保護者の皆様や教職員の方々のさまざまな歌が掲載され、まさしく『万葉集』のような様相を垣間見ることができます。
 また、『万葉集』には「言霊(ことだま)の幸(さき)わう国」という表現がでてきます。言葉の霊力が幸福をもたらす国というほどの意味です。この『飯盛嶺』にも四條畷学園生と学園生に関わる皆様に幸せをもたらす「言霊(ことだま)」が溢れていることを願い、『飯盛嶺』第十九歌集をお届けいたします。自ら表現した言葉から、他の人が表現した歌から生きている幸せを感じて頂ければ嬉しゅうございます。
 最後になりましたが、第十九歌集の発行にあたり、さまざまなところでご助力をいただきました多くの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

四條畷学園 飯盛嶺歌壇委員会 

 

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